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鍛冶屋を巡る旅 3「勝秀鍛造所」  

二年ほど前に、知人から「RIVER」というフリーペーパーを頂いた。
高知県の四万十川流域にスポットをあてた雑誌だった。
その号の特集に「勝秀鍛造所」の記事が掲載されていて、いつか訪問してみたいと思っていたが今回の旅でようやく訪ねることができた。

四万十川流域を紹介している雑誌「RIVER」
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高知県の南西部をゆっくりと流れる四万十川。その中流域に十川(とおかわ)という地域がある。商店街から少し奥に入った四万十川のほとりに勝秀鍛造所はあった。
真夏の昼下がりに、お会いできるかどうか分からないがとりあえず伺ってみると、外で涼んでいる方と目が合い、この辺りに鍛冶屋さんはありますかと訪ねたところ、その方が勝秀さんであった。
勝秀鍛造所の二代目、松村幸作さんは、十川に9軒あった最後の鍛冶屋。御年76歳になられるが、いまだ現役で刃物を打つ鍛冶屋である。
自分も一応鍛冶屋の端くれだということを伝えると、急に訪れたのにも関わらず仕事場を見せて下さり、いろんな話を聞かせて下さった。鍛冶屋を継いだ経緯、修行時代の辛さや、家族の学費を稼ぐために鍛冶屋をしばらく休んで出稼ぎに出ていたこと、道具のこと、作品のこと、後継者がいないこと、などなど。


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歴史を感じさせる仕事場と道具たち

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燃料は炭を使っている。高温になる範囲が、ガス炉などに比べると狭く、いっぺんに材料を加熱することができないため、加熱している間に少しの待ち時間がある。その合間に読書を楽しんでいるのが伺えた。
火床のすぐ横に読みかけの本が置いてあった。

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使い込まれた道具を見て、どんな風に使っているのかを想像するのはとても楽しい。

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くじらの形に似た小さめの包丁を作っている途中だった。完成品を見たかったが、あいにく在庫切れだった。残念。


ベルトハンマーの駆動部分。
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グラインダーと砥石
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機械類の動力は、一つのモーターに繋がったシャフトに、滑車がいくつか取り付けられていて、その滑車に掛けられたベルトを伝って回転するための動力が伝わる仕組みになっている。やり方次第では水車の力でも動きそうに思えてくる、このレトロな仕組みに憧れる。

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柄や鞘に使用する槐、桜、山桑、朴などの木を割って乾燥させている。
鉈は刃の部分と、柄や鞘ともにご自身で作られている。

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銘は「土州勝秀」

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猟師が使う剣鉈。仕上がりがとても美しく、持った時のバランスが絶妙で力も入れやすい。
鞘の表面に桜の皮を丁寧に貼られたものもあったが、近年上質な桜の皮が手に入らなくなってしまったようだった。
他にもいろんな種類の鉈を拝見させていただいたが、どれも素晴らしかった。
「仕事を真似する人が居たらそれは嬉しいことだ」とも話されていた。

自分の仕事と比べるのはとても恐縮だが、勝秀さんの仕事の進め方は、自分の仕事と少し似ているなと感じた。
設備も多少の違いはあるが、大筋はほとんど変わらない。
炭で火を熾して鉄を打ち、刃や柄、鞘を自分で作り販売する自己完結型の仕事。
そんな仕事を続けてきた大先輩にお会いできてよかった。
土州勝秀は毎週日曜日に「四万十とおわ道の駅」にて直接販売をされているようです。

今回伺ったのは、高知県の南西部を流れる四万十川に、程近く点在している三軒の鍛冶屋である。
同じ鉄という素材を使用している一括りに言うと鍛冶屋だが、それぞれに違う動機とアプローチで多様なものを生み出している。
なかなか個人でものを作るのが難しい時代だが、組織も個人から生まれたもので、それぞれの個性が生み出すものは、多様な文化に繋がるきっかけでもあると思う。









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