暮らしの工芸

包丁の研ぎ方  

当包丁の研ぎ方(両刃)について。

包丁の研ぎ方については一家言をお持ちの方が沢山いらっしゃると思いますので、あくまで当包丁を研ぐにあったっての個人的にいいなと思う研ぎ方を紹介したいと思います。
まず砥石ですが、普段台所で切れないと思って、さぁ研ぐぞってなったときに、砥石をいくつも出してくるのは玄人で、コストパフォーマンスを考えて、いくつも砥石を揃えるのはちょっとなかなか踏み出せない一歩でもありますよね。砥石は、刃がぼこっと欠けたり、ものすごい鈍角になったりしない限り、♯1000番と♯6000番があればだいたい事は足りると思います。もし欠けてしまったり、刃の形状が変わって切れ味が回復しないようなら、研ぎ直しに出して頂くというかたちが良いのではないかと思います。
いきなり1000から6000に飛んじゃうの?と思われるかと思いますが、中間の番手があれば尚仕上がりが早くなるということで、最低限切れ味を復活させるには、この2種類の砥石が必要です。
また、1000番と6000番が二枚合わさった両面砥石も市販されていますのでコストパフォーマンスが良いと思います。
当包丁のほとんどは黒打ち仕上げ(地肌の黒さを残してある)で作られていて、銀色に研がれた部分は切刃(きりば、きりは)といいます。
刃と呼ばれる部分は、この切刃の部分と、じつはわかりにくいのですが、もう一つの小さな刃が付いています。
小刃(こば)とか糸刃(いとば)とよばれるもので、0.02mm~0.2mmくらい、もしくはそれ以上の角度が急な刃で、この小刃のつけ方で切れ味、刃の持ち具合がほとんど決まります。
パッと見た目でわかる銀色の切刃の部分は、切り口を両側へ押し広げる役目をします。この切刃と小刃の両者のバランスが切れ味にとても重要な影響を与えます。
刃角_convert_20120930182423


晩御飯の支度をしていて切れないなと思って包丁を研ぐとします。
時間が押しているので早く研ごうとすると、感覚的にどうしても早く刃をつけたくて、角度を急に小刃だけを研いでしまいがちですよね。小刃ばかりを研ぐと、切刃を研がないので、どんどん小刃が大きくなり切れ味が鈍くなっていきます。(小刃が厚くなるので抵抗が増す)こうなるといくら研いでも切れ味が戻らないということになってしまいます。食材に対して鋭く刃を食い込ませるには切刃の薄さが重要です。
小刃を研いだら様子を見て、切刃もいずれ研ぐことを念頭においておくことが必要ですが、確かに切刃を研ぐのは骨が折れる作業ですので、小刃のみを研いでいって、研いでも研いでも切れ味が回復しないようになったら、切刃を研ぐために一度メンテナンスへ出して頂いて切れ味を戻し、また切れなくなったら研ぎやすい小刃のみを研いで使用するといった選択肢もあります。


●切刃を研ぐ

切刃はなるべく平面を保つように♯1000番 → ♯6000番の順で研ぎます。
砥石の上に包丁をのせて、切刃の部分を指で押さえると、切刃が砥石に密着します。そのべたべたの状態をなるべく保つように前後にスライドさせて研いでいきます。
切刃砥ぎ_convert_20120930184038

切先を研ぐ場合は、すこし包丁の柄を持ち上げて研ぐと切先の切刃が砥石に密着します。
完全に研ぎ下りると、触るとざらざらしている かえり(金属のバリ)が刃道に出ます。このかえりが刃道全体にでるように研ぎます。
片面が研げたら逆の手に包丁を持ち替えて研ぐのですが、慣れないうちはちょっと難しいかもしれませんね。
でもやっていくといつかは自然に研ぐことが出来るようになると思います。


●小刃を研ぐ

小刃は少し角度を付けて研いで行きます。
切刃の時と同じように、♯1000番 → ♯6000番の順番で研ぎます。♯1000で角度を付けて研ぐのでかなり早く研げます。小刃が大きくなりすぎると切れ味に鋭さがなくなりますので研ぐのは少しです。小刃を付け過ぎると切れない、付いてないと刃持ちが悪い。
♯1000で小刃の角度と大きさを決めて、♯6000で実際に食材を切る刃の先端部分の粒子を細かくします。
角度は、30~35度位がいいようで両刃だと両側から刃を付けるので、その半分づつの角度で両側から研ぎます。角度は、角度計でもないと少しわかりづらいですが、ある程度は経験によって切れる角度を習得していくことが必要だと思います。
小刃砥ぎ

また、♯6000で小刃を仕上げるとき、かえりの取り方が切れ味にかなり影響します。
刃の頂点をきれいに合わせるように、砥石で整えます。
かえりが綺麗に取れなかったら、新聞紙を数枚重ねて平らな場所へ置き、刃をかなり立てた状態で新聞紙の上を刃の横方向へ数回滑らせるとかえりが取れます。紙はわりと硬く、新聞紙でも刃を合わせるくらいに研ぐことが出来るんですね。
ラッピング


●急ぎのとき、ちょっと研ぎたいな

ちょっと切れ味を回復させたいなというとき(大体がこれだと思いますが)
♯6000で小刃を研ぎます。
砥石に対して刃を小刃の角度に合わせて、砥石の上で撫でるようにスライドします(上の写真の新聞紙を砥石に
見立てて、刃の両側を撫でて下さい)
刃の頂点が綺麗に合うと切れ味が戻ります。

上でも述べましたが、こればかりやっているとしばらくはいいですが、いずれ刃角が鈍角になってこの研ぎ方が通用しなくなりますので、たまに切刃を研ぐ対策を。

刃こぼれがあって♯6000で刃こぼれが取れない場合は♯1000も使います。この場合は小刃が大きくなるので、切刃も少し研いで刃の薄さをキープしましょう。



刃物は薄いと切れ味が良いけれど脆くなりやすい。切刃を研ぐのは薄さを出すため、小刃をとぐのは脆さを補うためだと考えてもよいかと思います。
より切れ味を求める場合は、切刃と小刃の角度が変わる部分の段差をスムーズにすると抵抗が減り、よりいっそう切れ味がよくなります。

刃物を研ぐことを説明するのは難しいですね、経験するのが一番なのですが。
一度覚えてしまえばずっと使えるスキルですからとりあえずチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

時間ができたら写真を使って、もう少しわかりやすい説明になるように補足しますね。
取り急ぎここまで。


【参考文献】
尾上卓生・矢野宏 共著 (1999)『刃物のおはなし』 財団法人 日本規格協会






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category: 包丁のお手入れ

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富士の見える市場で (Hanの市場)  

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結局なんだかんだいっても、ぼくらは気が付けば地球に産まれていて、生まれてきた理由をあとになって考えるのだが、ぼくは~の使命をもって産まれてきました!なんてはっきりと言うことは難しく、そんな曖昧模糊な状態で最後を迎えることは想像に難しくない。
だいたいは曖昧で、使命なんて考えてるの堅苦しくってと思う人は思うひと。
なにが正解なんてありゃしない。



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でも悩み苦しんで、思いがけずハッピーだったり、そのあとドン底だったり。
そんなめまぐるしい変化の連続の中で、良い所を人類に残すことを期待している人たちが沢山いる。
そんなことを思わせてくれる時間だった。



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お買い上げ頂いた皆様ありがとうございました。
暮らしの一部としてお供させていただければ幸いです。





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